专利摘要:
流体中の分析対象の含有量を測定する装置及び方法を提供する。 本発明の一つの態様は、紫外分光分析法、近赤外分光法、赤外分光法、ラマン分光法又は放射分析を使った水中の油分の含有量の測定に関するものである。ある実施態様において、固体の膜材はそれに接触する流体から分析対象を吸収する。その膜は次にFTIR分光計内に設置され、その分光計は流体中の分析対象の濃度を校正によって測定することが可能である。ある実施態様においては、存在する炭化水素の種類を判定することができ、それゆえに別個に試料調製をすることなく全石油系炭化水素(TPH)を総油・グリース(TOG)と識別することができる。
公开号:JP2011509414A
申请号:JP2010542296
申请日:2009-01-05
公开日:2011-03-24
发明作者:ピー;マーティン タイラー;ジェイ;スミス ディーン;ピー;シュワルツ トーマス;ドウセッテ ルーク
申请人:オロノ スペクトラル ソリューションズ インクOrono Spectral Solutions,Inc.;
IPC主号:G01N1-10
专利说明:

[0001] 本発明は流体中の分析対象の含有量を測定する装置及び方法に関する。さらに詳しくは、テストベッドで分析対象を捕捉し、試験装置で分析を行うシステム及び方法に関する。本発明は水に含まれる炭化水素を測定する装置及び方法に関するが、それのみに限定されない。]
背景技術

[0002] 短時間で安価に水中の炭化水素を測定する技術、すなわち、溶媒を必要とせずに水中の油分含有量を直接測定する技術が求められている。過去20年にわたり、赤外吸収測定が測定法の好ましい測定の基本とされてきた。しかしながら、この測定法は最初に液液抽出を行い、水から炭化水素を取り出す必要がある。この抽出を行うためによく使われてきたフロン、S-316、ペルクロロエチレンといった溶媒は環境、健康、及び安全性の問題から禁止され、あるいは段階的に廃止されてきている。化学物質等の感知、検出に関する産業界は、赤外吸収法によらない新たな手法及び機器を導入することで、この課題に対応しようとしている。]
[0003] ここで使われている「炭化水素」は水素と炭素を含む全ての分子を意味し、例として脂肪族分子や芳香族分子、カルボン酸のカルボキシル基、エステル基がある。ここで使われている「油」は通常7乃至40の炭素を含有する脂肪族炭化水素、芳香族種、及びその他の炭化水素との混合物を意味する。これには原油、精製油、灯油、その他の形態の炭素を主成分とする油が含まれる。]
[0004] オセロ・パリ条約(OSPAR)でヨーロッパ及びスカンジナビアでの使用が承認された現行の方法は水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフィー(GC-FID)である(OSPAR委員会参照番号2005-15)。本方法は溶媒(ペンタンが推奨される)を使用して試料調製のための液液抽出を行う必要がある。この方法には油の含有量を直接測定し、BTEX及びグリースからTPHを分離できる利点がある。ただ、GC-FIDは非常に多くの時間と労力を要し、測定毎におよそ6時間におよぶ時間とそのほかに定期的な校正を必要とする。また、含有グリースからのTPHの分離はこの測定方法には含まれておらず、別個に経験豊かな技師による試料調製が必要となる。これに対し、本発明は溶媒の使用は不要、試料調製は不要で校正はほとんど必要ない上に各測定にはほんの数分しかかからず、ある実施態様においてはTPHと含有グリースの判定のために別個の試料調製を必要としない。]
[0005] ここで使用されている「TPH」とは全石油系炭化水素のことであり、通常40個までの炭素を含むさまざまな化学構造の不揮発性脂肪族分子を含んでいる。ここで使用されている「BTEX」は全ての芳香族分子を表しており、それらはすなわちベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、さらにオルト、メタ、パラの各キシレンを意味している。ここで使用されている「グリース」は、カルボキシル酸及び/又はエステル官能基を含む長鎖の炭化水素分子を指している。]
[0006] 米国において環境保護庁(EPA)が認定している現行の標準的な方法(EPA 1664)もまた液液抽出に基づき、それまでの赤外吸収分析を基礎とした方法(EPA 418.1及び413.2)から替えられたものである。簡単に言うと、溶媒に注入した水から油、通常ヘキサンを抽出し、そのヘキサンを気化して後に残る残留物の全質量を測定し、TPHあるいはTOGとして記録されるものである(ここで使用される「TOG」は総油・グリースのことであり、すなわちBTEXを除いたTPHとグリースの総量である)。EPA 1664の方法により、その方法に固有の用語も新たに導入されることになった。TOGの代わりに、EPA 1664ではヘキサン抽出物またはHEMについて言及している。TPHの代わりに、EPA 1664ではシリカゲル処理済ヘキサン抽出物またはSGT-HEMについて言及している。TPH(またはSGT-HEM)からのTOG(またはHEM)の分離には作業実施者による別個の試料調製が必要とされる。この方法もまた労力を必要とし、測定にも長い時間が必要である。この方法では水がまったく残っていないこととヘキサンがすべて気化していることを確認する必要があり、これらが残留していると試料のTPH/TOG含有量が過大な値に検出されてしまう。この方法は、1回の測定に最大48時間が必要になる。EPA 1664の改訂において、EPAはEPA 1664Aという、SPEディスク又はカートリッジを用いて水からHEMを固相抽出(SPE)し、ヘキサンを用いてSPE物質からHEMを溶出させることを可能とする方法を公布した。EPA 1664と同じく、その後ヘキサンは試料から気化され、残留物の質量を計測してHEMを測定する。SGT-HEMはHEMを再度ヘキサンに溶解させ、シリカゲル処理を行って測定する。EPA 1664Aは溶媒の使用量を減らし、試験の実施時間を短縮させたものの、特定の試料については詰まりが起きるために使用できず、溶媒の使用量や要する時間はそれでもまだかなりのものである(1回の試験につき約200mlのヘキサン、ほとんどの試料につき1時間半)。繰り返しになるが、本発明は各測定の処理時間が非常に短く、ある実施態様においてはTPHとグリースを測定するために別個の試料調製を必要とせず、溶媒を必要としない。]
[0007] これに競合するその他の測定方法として、油含有量のBTEX成分に対する紫外蛍光法、紫外吸光光度法、あるいは紫外線蛍光/吸光分光法による同時分析に基づくものがある。これら方法は水に含まれる非常に少量のBTEXが測定可能(50ppbほどとされる)であり、水に含まれる試料を液液抽出試料調製の工程を経ずとも測定可能である。しかしながら、この方法は芳香族(BTEX)成分のみの試料測定に基づいており、TPH及び/又はグリースの存在は三つの成分全てを測定できる方法による期待される油分の流れを校正することによって測定しなければならない。このことは、対象となる水性試料の全汚染物質の測定を必要とする規制適合のための測定を実施する際に、また未知の油汚染物質が見つかった際には著しい欠点となる。]
[0008] 光散乱法/濁度による測定法は水に含まれる油の分析によく用いられる赤外吸収分析を基礎としない方法である。この方法は油が水に極めてわずかながら溶ける(通常1ppm以下)という事実を利用しており、そのため実際に二相系である、すなわち油は水の中で液滴として存在する。これら液滴は液滴のサイズによってある波長の光を散乱させ、またある波長における散乱の度合いは液滴の数及びサイズの両方によって決まる。そのため、油滴の数及びサイズは流動している二相の流体系の光散乱特性を調べることで測定することができる。ただし、気泡や固体粒子もまた光を散乱させることから、試料中の油の含有量が過大に評価されてしまうという問題に直面することになる。そのような装置の壁面は測定を実施する際に対象となる波長に対して透過性を有する必要がある。しかし、試料中の油や他の汚染可能物質はあらゆる表面に素早く堆積する傾向があり、比較的短時間の測定作業の後でも装置全体のクリーニングが必要となってしまう。]
[0009] 他の方法、超音波パルスエコー法に基づく方法などはまだ実証がなされておらず、非常に複雑であるため、広く受け入れられるとは考えにくい。]
[0010] ドイツ特許番号DE2754293号には、自動化システムにて使用される抽出溶媒が日本の株式会社堀場製作所(京都市南区吉祥院宮の東町2)から入手可能であると記載されている。これらシステムはEPA 418.1に適合するよう設計されたものであるため、ほとんどの抽出溶媒が禁止されていたり、段階的廃止とされていることから、実質的には仕様廃止となっているものである。これらのシステムは炭化水素の赤外線吸収特性を水に含まれる油を検知するのに利用しているものの、液液抽出のための溶媒の使用が必要である。]
[0011] 世界的に実践されている標準の計測法ではクロロフルオロカーボン溶媒の使用が必要とされたが、これはオゾン層に有害で世界的に禁止されてきており、またペルクロロエチレンといった他の抽出溶媒も測定者の健康や安全に対して有害であり、これもまた世界的に段階的廃止とされている。そのため、実際のところ溶媒を用いるシステムは一般的に旧式であるといえる。その他のシステムには抽出溶媒を回収、再生して再利用するものがあるが、これは通常、環境に対しては不十分なものであると考えられている。]
[0012] 米国特許第5109442号にはテフロン(登録商標)(デラウェア州のデュポン社より入手可能)といった疎水性素材が記載され、本願発明のように炭化水素吸収材としては使用せずもっぱら防水成分として使用されているが、テフロン素材を含むそのシステムを水に含まれる油の計測に使用することは記載されていない。一般に、吸収薄膜はさまざまな分析対象と接する際に変化する屈折率を有する金属から成る。この金属薄膜は光ファイバーにコーティングされており、光ファイバーを未知の周波数の光が通過するが、光ファイバーの素材のために赤外線は通過できない。金属被膜の屈折率の変化は光ファイバーから発する光信号の変化となり、それは測定対象である気体や液体中の検体濃度と相関性を有する。それゆえ、この方法では直接、油の含有量を測定するのではなく、二次的に金属被膜材の材料特性(屈折率)の変化を測定する。さらに明示されているのは、白金被膜はBTEX成分に強く反応するため、実際にはこの検知方法は油の含有量が直接測定の場合の2倍の差があることである。すなわち、本装置は水中の炭化水素の総含有量のごく一部へ反応する材料特性を二次的に測定する。そのため本方法は、しばしば未知であり及び/又は経時変化するBTEX成分の含有物に関しては、炭化水素の総含有量の校正に頼ったものとなっている。]
[0013] ファラー(Ferrer)及びロメロ(Romero)は、「固相抽出法及び赤外分光法による油及びグリースの測定」("Determination of oil and grease by sold phase extraction and infrared spectroscopy"、 Analytica Chimica Acta、1999年、第395巻、第77頁〜第84頁)に、水から油を分離するための真空ろ過装置を要する方法を掲載している。真空ろ過法は、フィルタの詰まりのため、直ちに(すなわち10分未満)膜を通過する流体を確実に流動させるための十分な圧力を提供できない。実際の試料は一般的に金属/金属酸化物粒子、有機物質、その他の粒子を高いレベルで含んでおり、これらは詰まりを引き起こす結果、膜全面に高い差圧が十分にかけられない限り、膜を通過する流体の流れを抑制してしまうことから、この制約による影響は著しい。]
[0014] ロメロ(Romero)の方法はさらに、膜を物理的に取り扱い、真空ろ過装置から取外し、その後、次の赤外分光分析のために別の膜ホルダに磁気による支持によって取付けるよう求めている。とりわけ、この方法では望ましくないコレクタの汚染を引き起こし、分析の進行に遅れをもたらす可能性がある。この参考文献に記載されたロメロ(Romero)の方法についての上記及びその他の制約から、商業化には不向きなシステムとなる。]
[0015] ファラー(Ferrer)及びロメロ(Romero)はさらに、「フーリエ変換赤外分光法及び固相抽出を適用した試料母成分である水の中の油及びグリース測定」("Fourier Transform Infrared Spectroscopy and Solid Phase Extraction Applied to the Determination of Oil and Grease in Water Matrices"、Microchemica Acta、2002年、第140巻、p.35-39)において、水中の炭化水素の測定のための別のシステムを掲載しており、これは水試料から炭化水素を気化させ、その水の表面上方に吊り下げたPTFEディスクに付着させるものである。利用される処理条件(熱と時間、場合により14時間まで)や校正が水試料中の炭化水素の種類によって大きく異なることから、著者らはこの方法を主にディーゼル及びガソリンを含む試料に利用することを推奨している。そのため、記載された方法は広く適用可能あるいは商業的に実現可能なものではない。]
[0016] 先行技術の記載が水中の炭化水素の含有量の測定を対象としているものの、より一般的には適度の精度を有して流体中の検体を検出する、商業的に適用可能な装置や検出に関する方法に対する需要があることに注意されたい。一般的に、赤外吸収スペクトル測定法やそれに限らない既に知られた評価ツールを用いた評価のために、精確で信頼できる分析対象物の試料を効率的に保持する検体測定装置及び方法を保有することは望ましいことである。]
[0017] ドイツ特許番号DE2754293号
米国特許第5109442号]
先行技術

[0018] Analytica Chimica Acta、1999年、第395巻、 第77頁〜第84頁「固相抽出法及び赤外分光法による油及びグリースの測定」
Microchemica Acta、2002年、第140巻、 第35頁〜第39頁「フーリエ変換赤外分光法及び固相抽出を適用した試料母成分である水の中の油及びグリース測定」]
発明が解決しようとする課題

[0019] 本発明の目的は、流体中の分析対象を検出する商業的に好適な装置及び検出に関する方法を提供することである。また、既に知られた評価ツールを用いた評価のために分析対象の精確で信頼できる分析対象の試料を効率的に保持する分析対象測定のための装置及び方法を提供することも本発明の目的である。]
課題を解決するための手段

[0020] 分析対象の測定のための装置及び測定に関する方法である本願発明により、これら及びその他の目的は達成される。本装置には、目的の分析対象との相互作用が最小あるいはまったく起きないよう選択された分析対象保持膜を有する装備品が含まれる。ある実施態様においては、当該膜物質は試験装置の一部として構成され、対象となる分析対象をそれに接触した流体から吸収あるいは捕捉するようにされている。膜はそれ単体で、あるいは試験装置の一部に又は試験装置全体内に入ったいずれかの形で、次に分光計、放射計、又はその他の検出ツール内に設置され、処理される。膜上に保持された分析対象の含有量と濃度は、たとえば分析ソフトを使い、計算される。]
[0021] 本願発明の装置には、サンプリング装置、オプションの試料前処理サブシステム、試料調製サブシステム、試料採集サブシステム、オプションの採集済試料前処理サブシステム、試料供給サブシステム、分析対象保持装置(前述の膜を含む)、オプションの試料採集/保持装置洗浄サブシステム、乾燥サブシステム、分析サブシステム、オプションのデータ保管サブシステムが含まれる。]
[0022] この膜は、目的の分析対象あるいは目的の分析対象中の化学結合と類似する化学結合を最低量で有するかあるいはまったく有しない。そういった化合物は対象物の波長感度又は関連する測定感度を妨げる。膜が分析対象や分析対象と類似する化学結合を有している場合、その試験に使われた膜の分析において説明ができるようにしておく必要がある。たとえば、水中の炭化水素含有量の測定のために、膜には対象の波長検出能力又は関連する測定感度を妨げる炭化水素結合の最低量が含まれるかあるいはまったく含まれていない、という具合である。この特定の例においては、当該膜は存在する炭化水素分子の種類を測定するのに使用してもよく、これにより総油・グリース(TOG)から全石油系炭化水素(TPH)を、いかなる試料の分離調製もせずに、分離することができる。]
発明の効果

[0023] 本願発明の開示で強調しているのは水に含まれる炭化水素の検出であるが、本発明の特徴及び特質は、一般的に、分析対象を検出する助けとなるために、空気、これに限らないが、を含む他の流体の分析対象を検出する助けとなるためにも利用してよいということは理解されるべきである。]
[0024] 本願発明は以下の特徴を有する分析対象の測定装置及び測定に関する方法である。1)精度、2)試料の変性を引き起こす分離、酸化等を最短の処理時間により最小限に抑えること、3)試料の劣化及び汚染等々を最小限に抑えるよう設計されたシステム、4)実際の粒子、生物由来物質、金属、塩類、その他の妨害物質に対する処理能力、5)自動化に向け拡張可能であること—システム構成部品はオンライン及び/又はオフラ+インでの自動サンプリング及び分析に対応するよう設計及び製作が可能である、6)幅広い範囲の分析対象を処理できる能力—本装置は質量負荷の原理により作動するため、変化する試料容量に精確に一連の処理を施すことが可能、7)目的の分析対象を捕捉するための効率的な抽出。]
[0025] 本願発明のこれらの特徴及びその他の特徴及び利点は以下に述べる詳細な説明、添付図面、特許請求の範囲により明らかになるであろう。]
図面の簡単な説明

[0026] 図1は本発明における装置の第一サブシステムを簡略的に表す図である。] 図1
[0027] 図2は本発明の分析方法を簡略的に表す図である。] 図2
[0028] 図3は本発明の分析対象保持装置の第一の実施態様を表す側面断面図である。] 図3
[0029] 図4は本発明の保持装置の膜及びシールを表す平面図である。] 図4
[0030] 図5は本発明の保持装置の膜、シール、支持体を表す側面断面図である。] 図5
[0031] 図6はフロー膨張器に接続した保持装置の実施態様を表す側面断面図である。] 図6
[0032] 図7は赤外線ビームを受けているところを示した膜を装着している図6の保持装置を表す側面断面図である。] 図6 図7
[0033] 図8は図6の保持装置の第一の他の実施態様の断面図であり、この実施態様では乾燥、洗浄、測定の前に何らの操作を要しない。] 図6 図8
[0034] 図9は赤外線ビームを受けているところを示した膜を装着している図8の保持装置を表す側面断面図である。] 図8 図9
[0035] 図10は図6の保持装置の第二の他の実施態様の断面図であり、支持体は別部品が装置のハウジングと一体化されるのではなく、成型されたハウジングそのものが支持体の役目を果たしている。] 図10 図6
[0036] 図11は赤外線ビームを受けているところを示した膜を装着している図10の保持装置を表す側面断面図である。] 図10 図11
[0037] 図12は図6の保持装置の側面断面図であり、オプションのフロー膨張器が取外された部分を示している。] 図12 図6
[0038] 図13は赤外線ビームを受けているところを示した膜を装着している図12の保持装置の実施態様を表す側面断面図である。] 図12 図13
[0039] 図14は本発明の保持装置の第三の実施態様を表す立面断面図である。] 図14
[0040] 図15は図14の保持装置のハウジングが取外された部分を表す側面断面図である。] 図14 図15
[0041] 図16は赤外線ビームを受けているところを示した膜を装着している図15の他の実施態様を表す側面断面図である。] 図15 図16
[0042] 図17は本発明の他の実施態様の側面断面図であり、試料流出源から流体を導入させる接合導管近傍の保持装置を示している。] 図17
[0043] 図18は保持装置が内部に着脱自在に取付けられている乾燥サブシステムの平面図である。] 図18
[0044] 図19は図18に示される乾燥サブシステムのマニホールドを表す平面図である。] 図18 図19
[0045] 図20(図20A及び図20B)は本発明のある実施態様を用いた実験結果によるFTIRスペクトルを表している。試験は水中での濃度が0.1ppm乃至30ppmのヘキサデカンを使用して実施された。] 図20 図20A 図20B
[0046] 図21は本発明のある実施態様を用いた実験結果によるFTIRスペクトルを表している。試験は水中の濃度が約2.3ppmのステアリン酸を使用して実施された。] 図21
[0047] 図22は本発明のある実施態様を用いて、実際の排水の4種類の試料を検査した実験の結果によるFTIRスペクトルを表している。] 図22
[0048] 図23は本発明を用いた6種類の実際の流体試料についての実験結果を、標準の溶媒を用いたメキシコ湾の原油生産プラットフォームから発生した水の分析結果と比較した表である。] 図23
[0049] 一般的には、本願発明は流体中の分析対象の測定に関する。さらに詳しくは、本願発明のひとつの実施例は水に含まれる炭化水素の測定を対象とするものである。水に含まれる炭化水素は環境や人間の健康に有害であることが知られている。「水」といっても、淡水、海水、都市廃水、石油産業より発生した水(ここで、「発生した水」とはたとえば原油の採取や工業処理において生じた廃水を示す)、船舶のビルジ水、その他の水がある。それぞれの水の発生源は、周囲の環境に排出する前に水に含まれ得る炭化水素濃度の制限値を有している。世界中の監督機関はこれらの制限値を施行し、各事業地並びに他の場所など水中に炭化水素が含まれる可能性のある場所での定期的テストを求めている。本願発明は、水に含まれる炭化水素の測定というこの課題に対し、精確で、経済的で、時間のかからない、環境に優しい解決策を提供しようとしている。]
[0050] 図1に示されている通り、本願発明の分析装置10には、サンプリング装置12、オプションの試料前処理サブシステム14、試料調製サブシステム16、試料採集サブシステム18、オプションの採集済試料前処理サブシステム22、試料供給サブシステム24、分析対象保持装置26、オプションの試料採集/保持装置洗浄システム27、乾燥サブシステム28、分析サブシステム30、オプションのデータ保管サブシステム32が含まれる。] 図1
[0051] サンプリング装置12は、一つ又はそれ以上の目的とする分析対象について分析しようとする流体を回収するために使用する。このサンプリング装置12は、分析する分量の流体を保持するのに好適な容器の規制要件に適合するものが選択される。サンプリング装置12は内側が非溶出性で、保管中及びどのような移動中も分析対象の損失/劣化の発生が最小限あるいはまったくない素材で作られていなければならない。このサンプリング装置12は分析装置10の一部又は全体の自動作業への適合性を考慮して選択してもよい。密封できる蓋のついたガラス容器は、すでに知られた特徴を有する発生源、たとえば水道の蛇口、池、導管から流れてくる分析対象の流体を受取るのに適したサイズのポート部を有していれば、本用途に好適なサンプリング装置である。内側をテフロン(登録商標)でコーティングした蓋を備えた1リットルのガラス製ビーカーはサンプリング装置として好適であることは周知である。]
[0052] オプションの試料前処理サブシステム14は、好適であると見なされれば、分析対象保持装置26に移送する前に試料を調整するのに利用される。このような前処理は、たとえば試料を保管するためや処理に備えて試料の調製を行うために、サンプリングから処理までの間に相当の時間が経過している場合に必要となる。これはたとえば流体を酸性化するための前処理といった、規格及び/又は規制要件に適合させるために構成されるツールあるいは方法として選択される。オプションの試料前処理はサンプリング装置12の中、あるいはサンプリング装置12の特徴に一致する特徴を備えた他の好適な容器の中で実施される。このオプションの試料前処理サブシステム14は、流体中の分析対象の検出に影響や効果を及ぼさないことを確実にするために選択される。このオプションの試料前処理サブシステム14は分析装置10の一部又は全体の自動作業への適合性を考慮して選択してもよい。]
[0053] 試料調製サブシステム16には、分析のために採集された試料の調製に好適なツールが一つあるいはそれ以上含まれている。この試料調製サブシステム16は、試料採集サブシステム18に移送する前に均質な試料となっていることを確実にするために、試料を有効に撹拌するよう構成されている。試料の調製は、人力による振とう、自動化装置による振とう、実験室用ミキサーの使用、電磁撹拌、超音波混合、あるいはこれらの組み合わせによって行う。好適な自動振とう器としては、カリフォルニア州キャマリロのセントラル・ニューマティック・ペイント・シェーカー社(Central Pneumatic Paint Shaker)から入手可能なモデル94605がある。実験室用ミキサーで好適なものには、イリノイ州バーノンヒルズのコール・パーマー・サーモ・サイエンティフィック社(Cole Parmer Thermo Scientific)から入手可能なステアリング・ホットプレート(Stirring Hotplate)がある。超音波混合器で好適なものには、これは粒子を破壊するが、イリノイ州バーノンヒルズのダイガー社(Daigger)が出しているIKA Ultra-Turrax T-18ホモジナイザー(IKA Ultra-Turrax T-18 Homogenizer)がある。選択された試料調製サブシステム16は、試料の均質化を確実にするのに好適な時間及び技術特性に基づいて操作されてよい。この試料調製サブシステム16は分析システムの一部又は全体の自動作業への適合性を考慮して選択してもよい。]
[0054] 試料採集サブシステム18は選択可能な量の分析中の流体をサンプリング装置12から取り出し、分析対象保持装置26へ移送するために使用される。これは少なくとも以下の特徴を有することから選択されている。テスト中の試料を効率的に導入し、収容し、供給できなければならない。NIST及び/又はISO製造規格といった供給に関する精度の標準に由来することができる。広い圧力範囲や正圧が効率的に処理されるべきである。オイル、グリース、その他の分析対象についての妨害物質を取り込まないように選択されている。使い捨て及び/又は無菌密封容器に保持されることが好ましいが、必須要件ではない。外部の汚染物質が分析過程に入り込む可能性を排除あるいは最小限に抑えるよう、密閉されたシステムである。たとえばルアー・インターフェイス(a LUERinterface)といった標準的な接続等の規格化された接続インターフェイスを有している。試料採集サブシステム18は不活性であり、溶出不可能な材質、つまり当該分析方法の処理過程中に流体の流れの中に浸出しない材質で作られている。]
[0055] 試料採集サブシステム18は、事故による流出を防止するために有用な安全栓によって、スムーズな資料の抜き取りを可能にするために選択されている。このシステムは、試料の移送によるわずかな増加量もわかりやすく的確であることも併せ持つ精確さがあるべきである。試料採集サブシステム18は好ましくはオプションの試料採集/保持装置洗浄システム27に適合させることができるように構成されており、所望により残留分析対象を保持装置26を含むそのシステムから「洗い流す」ことができる。また、好ましくはオプションの試料前処理サブシステム22も適合させられるように構成され、妨害物質となり得る物質を除去し、及び/又は分析が最適化されるよう試料を処理する。最後に、この試料採集サブシステム18は分析装置10の一部又は全体の自動作業への適合性を考慮して選択してもよい。ドイツのトゥットリンゲンにあるヘンケ・ザース・ウォルフ社(Henke Sass Wolf)から発売されている非発熱性、無毒性、滅菌済みのノーム・ジェクト(Norm-Ject)ルアー・ロック・シリンジは、この試料採集サブシステム18に好適な実施態様である。]
[0056] オプションの採集済試料前処理サブシステム22は流体を保持装置26へ移送する直前に、当該分析方法に悪影響を及ぼす可能性のあるいかなる妨害物質をろ過により除去するといった調整をするために用いられてよい。これは少なくとも以下の特徴を有することから選択されている。最初に試料をまとめて採取した際に取り込まれたかもしれない、または上流のサブシステムのいずれかを介して流入したかもしれない外部からの物質をろ過により除去する。好ましくは、少なくとも試料採集サブシステム18、試料供給サブシステム24、及び分析対象保持装置26との間に互換性を持つように構成されている。化学的及び/又は物理的な妨害物質(たとえば粒子状物質)を、分析対象、データの品質、又はシステムの精度を損なうことなくろ過除去することができる。分析中の流体に妨害物質を侵入させないように選択される。分析対象保持装置に送る試料の量を最大限にするように処理した流体を少量保持させてもよい。]
[0057] オプションの試料前処理サブシステム22は使い捨て及び/又は無菌の密封容器に保持されることが好ましいが、必須要件ではない。外部の汚染物質が分析過程に入り込む可能性を排除あるいは最小限に抑えるよう、密閉されたシステムである。最後に、この試料前処理サブシステム22は分析装置10の一部又は全体の自動作業への適合性を考慮して選択してもよい。試料前処理サブシステム22は、どちらもマサチューセッツ州ビレリカのミリポア・コーポレーション(Millipore Corporation)から入手できるミリポア・シリンジ・フィルタ及びMillex-HV/PBフィルタ・ユニット、さらに化学的に不活性なフィルタ素材、たとえば、これに限らないがグラス・ファイバを組み合わせて形成することができる。]
[0058] 試料供給サブシステム24は調製済み試料を採集/前処理サブシステムから分析対象保持装置26まで物理的に移送するために使用される。これは少なくとも以下の特徴を有するよう選択及び構成されている。試料採集サブシステム18、オプションの試料前処理サブシステム22、及び分析対象保持装置26を経由して、材質や分析結果を損なうことなく最適な差圧を提供することができる。試料は手動または自動で供給されてよい。手動の操作では、試料供給サブシステム24が単純に手で作動させる試料採集サブシステム18のシリンジのピストンであってもよいし、あるいは仕様に変更を施したコーキング・ガンでもよい。手動による供給は流量及び圧力を明確にするフィードバック機構を有しても有さなくてもよい。自動による操作では、試料供給サブシステム24はマサチューセッツ州ホリストンのハーバード・アパラタス社(Harvard Apparatus)から出ているリモート・インフューズ・ウィスドロウ(Remote Infuse/Withdraw) PHD 22/2000シリンジ・ポンプのようなシリンジ・ポンプであってよい。あるいは、仕様に変更を施した自動コーキング・ガンでもよい。自動化ツールは適用するものの要求に応じ、圧力及び流量のフィードバック制御を有しても有していなくてもよい。より精確に制御された供給(たとえば全容量、流量データ、圧力データ)を提供できる可能性が高いことから、自動による供給の実施態様の方が好ましい。]
[0059] 好ましくは、試料供給サブシステム24は処理過程中にいかなる汚染物質や分析対象に対する妨害物質も取り込まないように選択される。微粒子を含んだ試料がシステム内を移動するのを補助する必要があれば、試料の撹拌ができるよう適合させてもよい。たとえば、自動による操作では振動モータを利用した振動による振とうや、超音波ペンによる超音波パルスを有してもよい。この試料供給サブシステム24は分析装置10の一部又は全体の自動作業への適合性を考慮して選択してもよい。]
[0060] ここでより詳細に説明される分析対象保持装置26は、採集されて分析中の流体に含まれる分析対象を保持するよう構成されている。保持装置26は少なくとも以下の特徴を備えている。単一部品の装置であり、可動部分がなく、保持されている分析対象を分析サブシステム30へ送る操作は最小限、あるいはまったく必要ない。非定常圧流量、たとえば100psi(約7.03kgf/cm2)を上回る正圧、を含む一定流速を含む、広い差圧範囲(従って、広い範囲の流量)を処理することができる。赤外分光法に最適化された分析領域、すなわち適合処理量(スループット・マッチ(throughput match))を提供することから赤外分光法に即座に適用可能である。特定の検査対象に基づく適切な試料量の範囲において作動することが可能である。保持装置26は外部の汚染物質が分析過程に入り込む可能性を排除あるいは最小限に抑えるよう、密閉されたシステムである。保持装置26は一つあるいはそれ以上の不活性で溶出不可能な材質、つまり当該分析方法の過程中に流体の流れの中に浸出しない材質で作られている。この保持装置26は分析装置10の一部又は全体の自動作業への適合性を考慮して選択してもよい。]
[0061] 図2に示すように、本発明の分析方法100は複数の工程があり、一つあるいはそれ以上の測定される分析対象を含む流体の試料を入手して調製するための工程であって一つあるいはそれ以上の選択的な工程であってよいもの、及びその測定の実施に関連する工程が含まれる。本方法の第1工程は、一つあるいはそれ以上の選択された発生源から流体の試料を入手することを含んでいる。次に、入手した試料は選択的に、ここで説明するように前処理をしてもよい。前処理の有無に関わらず、その試料は次に採集のために調製される。この前処理工程もここで詳述する。少なくとも一部の前処理済み試料が試料採集サブシステムへ移送され、採集される。次に、採集した試料は選択的に、前述のように前処理をされてもよい。前処理の有無に関わらず、採集された試料は分析対象保持装置26へ移送され、流体はここで詳述する膜で除外されるか膜を通過する。試料採集サブシステム18及び保持装置26は、選択的に、ここに詳述する洗浄サブシステム27によって洗浄される。洗浄されたか否かに関わらず、保持装置26は乾燥サブシステム28内で乾燥され、分析サブシステム30へ送られ、そこで分析対象の検出のために試験される。本分析に付随する情報は当業者に周知の検討を行うために使用されてよい。本発明の装置10及び方法100は最も有効な試料を分析サブシステム30へ供給するために改良された試料採集の構成を対象としたものである。試験された結果、いかなる試料についての情報及び/又は分析情報もデータ保管サブシステム32へと、選択的に、報告及び/又は保管されてよい。] 図2
[0062] 図3乃至5に示すとおり、分析対象保持装置26はハウジング40、シール42、膜44、支持体46を有し、図中の一部に示される特定の実施態様について、これらは全てここにさらなる詳細が記述される。一般に、ハウジング40は、たとえばルアー(LUER)といった標準的な接続部を有してよいことに注意されたい。ハウジング40は、特定の適用事項(寸法、材質、流速、流量、圧力)の要件にかなうよう最適化されたさまざまな種類のデザインに作られてよい。シール42は再現可能な流量範囲を定め、確定する。つまり、整合性のある試料の流量範囲を確定し、その流量範囲はたとえば赤外線ビーム経路の断面に相当してよい。シール42は、分析対象や妨害物質が膜44の周囲/下側を流れて分析領域の中に流入しないようにするために、膜44と支持体46の周囲を密封する。より一般的には、シール42は気密及び液密シールを提供する。シール42のために選択された材質は、膜44及び支持体46を通る差圧の処理に対しても十分な物理的化学的強さを有し、材質や分析処理が損なわれないものが選ばれている。また、試料の赤外線処理に影響を与えないものが選ばれている。] 図3
[0063] 通常、分析対象保持装置26の膜44は、ここで記載されるように、目的となる分析対象を最適に捕捉するべく選択されている。支持体46は実質的に中性密度部品であり、膜44に剛性をもたらすよう構成されている。支持体46は、膜44を通過あるいは通過せず横切る流体の流れをせき止めないように構成されている。支持体46は目的とする分析対象の赤外分光法に適しているものが選ばれ、保持装置26の他の部品の整合性を損なうことなく、膜44を通過せずに横切る差圧に耐えられる。]
[0064] 支持体46は膜44の構造的に支持する機能を有する。膜44は多孔性で、分析中の流体が膜44を通過していくか通過せずに流れていくように分配される機能を有する。同様に、支持体46は膜44を通過あるいは通過せずに流れていく流体断面が均質であるのを助ける、あるいは少なくとも妨害しないように構成されている。たとえば、支持体46もまた多孔性としてよい。その多孔率は膜44の多孔率と同じでもよいし、異なっていてもよい。支持体46のその多孔率は、実際に分析に用いられる膜44の面積の大きさという機能として選択してもよい。膜44の表面全体が分析に使用される(すなわち赤外分光法の光路が膜44の面積とほぼ一致する)場合、支持体46は膜44の支持ができる限りにおいて、比較的大きな孔を有してもよい。膜44の表面の一部のみが分析に用いられる(すなわち赤外分光法の光路が膜44の面積より狭い)場合、支持体46は流体を膜44に対して通過あるいは通過せず横切るよう均一に分配する助けとなるべく比較的小さな孔とするべきである。]
[0065] 支持体46はハウジング40内に嵌合する保持装置26とは別の部品であってよい。その場合、膜44及び支持体46はハウジング40から一緒に取り外したり、試験装置に挿着してもよい。または、支持体46はハウジング40の恒常的に一体化された部品として形成されてよく、膜44のみがハウジング40から取り外されたり、試験装置に挿着されるようにしてもよい。本発明の別の実施態様では、膜44あるいは膜44及び支持体46を有するハウジング40全体を試験装置に挿着するようにしてもよい。さらに、ハウジング40、支持体46、あるいはその両方を含む保持装置26の一つあるいはそれ以上の部品は、再使用が可能であることにも注意されたい。]
[0066] 図6及び7に示される本発明の実施態様において、ハウジング40は保持装置26をフロー膨張器50といった他の装置と着脱可能に結合するのに好適な外部ネジ48を有している。試料供給サブシステム24が比較的細い試料の流れを膜44へと導くシリンジ52を含む場合などに、フロー膨張器50は採集済み試料を膜44の表面を通過せず横切って分配する際に使用されてもよい。本実施態様において、保持装置26はネジを緩めるか他のやり方で膨張器50から取外してもよく、分析のために保持装置26全体を分析サブシステム30に挿着してよい。図7は、赤外分光計の赤外線ビーム54が膜44に向けて照射されている保持装置26全体を示している。] 図6 図7
[0067] 図8及び9に示された保持装置26の第一の実施態様において、ハウジング40は図6のフロー膨張器50と同等の効果をもたらす形状に形成されている。詳しくは、ハウジング40は支持体46と膜44の位置から離れるに従って緩やかに先細りとなる部分を有している。ハウジング40の端部はその内側の寸法が、シリンジ52の端部のような流体を導く手段の先端部の外部の寸法とほぼ一致するが、わずかに上回る寸法にされている。当該第一の実施態様の代替例において、保持装置26は流体を導く手段から分離されてよく、分析のために保持装置26全体を分析サブシステム30に挿着してよい。図9は、赤外分光計の赤外線ビーム54が膜44に向けて照射される保持装置26全体を示している。] 図6 図8
[0068] 図10及び11に示された保持装置26の第二の実施態様において、ハウジング40は図6のフロー膨張器50と同等の効果をもたらす形状に形成されている。詳しくは、ハウジング40は支持体46と膜44の位置から離れるに従って鋭く先細りとなる部分を有している。ハウジング40の端部はその内側の寸法が、シリンジ52の端部のような流体を導く手段の先端部の外部の寸法とほぼ一致するが、わずかに上回る寸法にされている。当該第二の実施態様の代替例において、保持装置26は流体を導く手段から分離されてよく、分析のために保持装置26全体を分析サブシステム30に挿着してよい。図11は、赤外分光計の赤外線ビーム54が膜44に向けて照射される保持装置26全体を示している。図10及び11に示される支持体46は多孔性の支持体の実施態様であることに注意されたい。前述のように、支持体46は多孔性であってもなくてもよい。] 図10 図11 図6
[0069] 図12及び13は、図6及び図7の保持装置26を示しており、膨張器50の一部が切除されてよく、残った部分はそのまま保持装置26に接続されて分析サブシステム30に挿着される。] 図12 図6 図7
[0070] 図14乃至16には本発明の保持装置26の第三の実施態様が示されている。本実施態様において、ハウジング40'は試料供給サブシステム24の一部を形成し、採集した試料を膜44へ実質的にその断面のほぼ全体を通過せず横切るように送出するピストン・ドライブ56を含んでもよい。この構成においては、試料の流れの均質性を生み出す膨張器は不要である。ハウジング40'は、図15に示すように切断してよく、膜44を有する部分のみが保持装置26を形成して分析サブシステム30へ移送するようにしてもよい。赤外線ビーム54はその後に膜44へ向けて照射される。] 図14 図15
[0071] 図17に示されるとおり、ネジ部48を有するハウジング40を含む保持装置26は、選択的に、バルブ62を有する接合導管60と連結してもよい。導管60は分析対象の流体が内部を流れる処理フロー・パイプ64に連結してもよい。この構成において、流体の試料は処理フロー・パイプ64から阻害されることなく直接採集することもでき、さらに、試料はここで記載されているさまざまな採集及び移送工程を経ることなく所望により採集してよい。バルブ62を開くことにより、処理フロー・パイプ64内の流体の一部が選択的に保持装置26の膜44へ送出される。つまり、接合導管60は流体の一部を保持装置26へ向けて方向転換させるように構成されてもよい。この方向転換は図示するように湾曲した管によってなされてよいが、これに限定しない。十分な量の流体が膜44を通過するかあるいは通過せずに横切れば、バルブ62は閉じてよい。次に、保持装置26は接合導管60から接続を外してよく、処理される及び/又は分析サブシステム30へと移送されてよい。当業者は、分析対象の流体が入っている構造体に対する切り離し可能なインターフェイスを確立する他の手段が、膜44上の試料採集のための同等の機会を提供すること認識するであろう。さらに、保持装置26は処理フロー・パイプ64に着脱可能に接続可能であれば、処理フロー・パイプ64に直接接続できる。この構成において、流体の流れは保持装置26を取外す前に必ず停止させるようにしてもしなくてもよい。さらに、処理フロー・パイプ64は流体の流出源を表すものであり、本発明は保持装置26の流体の流出源への接続に当たり、直接接続あるいは間接接続のどちらにも限定されない。] 図17
[0072] 図1に戻って、オプションの試料採集/保持装置洗浄システム27は、分析対象のみが保持装置26上に残るよう、全ての試料流体が確実に保持装置26を通過させるために使用してよい。これは少なくとも以下の特徴を有することから選択されている。これは、好ましくは、試料採集サブシステム18及びオプションの試料前処理サブシステム22に適合させるよう構成されている。本システムは、以下の目的のために、試料採集サブシステム18を適切な流体(たとえば清浄水)で満たすことができる、1)保持装置26を通り抜けてきた残留可能性のある分析対象を洗い流し、洗浄する、2)システム全体の分析性能を最適化させるよう支援する。試料採集/保持装置洗浄システム27は試料採集及びオプションの試料前処理サブシステムに、一般的で障害を起こさない接続(たとえば、ルアー接続)を介して簡単に適用可能であり、この接続は分析対象試料の供給後、オプションの工程が実施されるなら洗浄工程の間、保持装置26を通過した希望する所望の流体の流れを一方向とする。] 図1
[0073] このオプションの試料採集/保持装置洗浄サブシステム27は使い捨て、または無菌密封容器に保持されることが好ましいが、必須要件ではない。外部の汚染物質が分析過程に入り込む可能性を排除あるいは最小限に抑えるよう、密閉されたシステムである。試料採集/保持装置洗浄サブシステム27は一つあるいはそれ以上の不活性で溶出不可能な材質、つまり当該分析方法の過程中に流体の流れに浸入しない材質で作られている。最後に、この試料採集/保持装置洗浄サブシステム27は分析装置10の一部又は全体の自動作業への適合性を考慮して選択してもよい。コロラド州フォート・コリンズのバリュー・プラスティックス社(Value Plastics, Inc.)から入手可能な部品番号DCV115の三方向バルブを適切な洗浄流体の流出源に接続したものは、このオプションの試料採集/保持装置洗浄サブシステム27に好適な実施態様である。]
[0074] 図1、18、19について、乾燥サブシステム28は、本発明の方法の分析対象の分析工程を実施する前に非分析対象の流体を保持装置26から取り出すために使用される。乾燥サブシステム28はハウジング60、マニホールド62、インターフェイス64を含む。ハウジング60は空洞を有し、その内部に保持装置26が着脱可能に取付けられてよい。詳しくは、ハウジング60は吸入口66を有しており、この吸入口66は保持装置26のハウジング40に接続するための可逆的コネクタを有する構成とされてよい。たとえば、それぞれがネジを切られていてよい。吸入口66は、第一インターフェイス端部68においてインターフェイス64と可逆的な接続ができるよう構成されている。このインターフェイスは導管を構築するよう構成されており、その導管内をたとえば空気といった乾燥媒体が通り、吸入口66を通過してハウジング60へと入っていく。インターフェイス64の第二インターフェイス端部70は、マニホールド62に対して可逆的に接続できるよう構成されている。マニホールドは複数の乾燥チューブ72により構成され、1本又はそれ以上の乾燥チューブ72はバルブ74を有してよく、これによりユーザが保持装置26の膜44へ向かう乾燥媒体の流れを調節できるようにしている。たとえば、ユーザが横方向の乾燥、つまり膜44上面の乾燥、を起こさせたいために、一つあるいはそれ以上のバルブを少しあるいは完全に開きたい場合がある。あるいは、ユーザが、乾燥媒体に膜44を強制的に通過させるため、バルブを全て閉じ、図17の中央に示す乾燥チューブ72のみを開いたままにしておきたい場合がある。時間枠、乾燥媒体、等々と同様に、当業者は乾燥についての考え方の他の選択肢も認識するであろう。乾燥サブシステム28の部品は、選択された材質がシステム10の目的とする機能性に悪影響を与えることがなければ、非金属材を含んでよい、ただしそれに限定されず、選択可能な材質により作られることができる。] 図1 図17
[0075] 乾燥サブシステム28の分析対象保持装置26への接続は、分析の準備に当たって非分析対象流体/気体を膜44及びハウジング40内から除く際に重要な役目を果たすことに注意されたい。乾燥サブシステム28は少なくとも以下の特徴を有するよう構成されている。乾燥サブシステム28の効果を最適化するために選択され、分析前に保持している分析対象を除去したり、分析の処理を損なうことになる妨害物質や汚染物質を取り込んだりすることなく分析対象保持装置26を効率的及び効果的に乾燥させる。乾燥サブシステム 28には手動、半自動、又は全自動の各バージョンがあってよい。]
[0076] 乾燥サブシステム28は、流体の二次流れ及び圧力調整アッセンブリーの内部の流入源に乾燥空気の発生源を封入するよう設計されている。前述のように、マニホールド62は横方向(膜44の表面を通過せず横切る方向)及び/又は縦方向(膜44を通過する方向)の流路及び排気を可能とすることで膜44を乾燥させる性能を与えるよう構成されている。横方向及び縦方向の流量の分配はバルブ74を介して制御できる。マニホールド62は、横方向及び縦方向の分析対象保持装置26のフィードバック及び制御のための自動化(たとえばセンサや電子バルブ)に乾燥空気プロファイル(たとえば時間、率、圧力、縦/横方向の流量分布)を組み込んでよい。]
[0077] この乾燥サブシステム28は分析システムの一部又は全体の自動作業への適合性を考慮して選択してもよい。乾燥サブシステム28の好適な実施態様の例には、次のものがあるが、これらに限定されない。ヘンケ・ザース・ウォルフ社(Henke Sass Wolf)のNorm-Jectシリンジ、カリフォルニア州サン・ディエゴのペトコ・アニマル・サプライズ社(Petco Animal Supplies, Inc.)から入手可能なエア・ポンプ(Air Pump) 7500等の一般に販売されている全てのエア・ポンプ、カリフォルニア州サン・ディエゴのTCGグローバル社(TCP Global)から入手可能なTC-20コンプレッサ等のエア・コンプレッサである。より一般的には、他の乾燥手段として以下のものがあるが、これらに限定されない。機械的に圧縮された大気、機械的に圧縮、乾燥、及びろ過された大気、加圧された処理気体のソース(たとえば、空気、窒素)。記載してあるとおり、圧力フィードバック・ツールを使用して乾燥サブシステム28の流量を監視、調節してもよい。さらに、オハイオ州ジーニアのW.A.ハミルトン社(W. A. Hamilton Co. Ltd.)から入手可能なドライエリート(Drierite(商標))乾燥チューブは保持装置26の乾燥の補助として使用してよい。]
[0078] 分析サブシステム30は、乾燥過程後の分析対象保持装置26に保持されているあらゆる分析対象の特性評価を行うために使用される。保持装置26又はその一部はどちらも試験装置フレーム内あるいは他の形態の分析サブシステム30のサポートに配置される。分析サブシステム30少なくとも赤外線分析の特性(あるいは同等のもの)を有している。この技術には、適用対象の要求に応じて放射分析技術(赤外線スペクトルに対して一つの手段)、準放射分析技術(赤外線スペクトルの他の分野に対して複数の手段)、全ての分光分析技術が含まれる。分析サブシステム30はベースライン補正の信号処理、統合、ピーク高さ測定、スペクトル解析(計量化学及び/又は関連する統計処理)が可能である。これは好ましくは少なくとも情報記憶能力、既に知られている分析対象の赤外線特性/ユーザ・インターフェイス/有線又は無線通信能力のうち一つあるいはそれ以上のライブラリを有し、少なくとも断面の寸法が膜44の断面寸法と同じか小さなスキャン範囲を有する膜44を受け取るか支えることができる。当業者が集められた試料流体中の分析対象の含有量を判定できるよう、十分に詳細な情報のアウトプットを提供しなければならない。この分析サブシステム30は分析装置10一式の一部又は全体の自動作業への適合性について自動化し、選択してもよい。分析サブシステム30に好適な実施態様としては、以下のものがあるが、これに限定されない。カナダのケベックにあるABBボーメン社(ABB Bomen)から入手できるMB 3000 FTIR及びホリゾン(Horizon)ソフトウェア並びにマサチューセッツ州ウォーザンのサーモフィッシャー・サイエンティフィック社(ThermoFisher Scientific)から入手可能なニコレット(Nicolet) iZ10及びグラムズ/AIアナリシス(Grams/AI Analysis)ソフトウェアである。]
[0079] オプションのデータ保管サブシステム32は分析の過程からの未処理並びに処理済情報を保存するために使用されてよい。その特性は、試料、分析、過程に関する情報の電子的保存に十分な容量を有していることであるが、これに限定されるものではない。このシステムは再分析の可能性に備えて未処理及び処理済情報を効率的に保存する。条件の悪い環境下に置かれる様な場合は、堅牢で環境を調整された気密及び液密容器に保持されることが好ましい。本システムは、装置10の整合性及び決まった時間(適応対象による)のために抽出された結果が少しも損なわれないことを確実にする形で、分析装置10の一つあるいはそれ以上の他のサブシステムと有線あるいは無線で接続可能であるべきである。他のサブシステムと同様に、このオプションのデータ保管サブシステム32は分析装置10一式の一部又は全体の自動作業への適合性を考慮して選択してもよい。]
[0080] 分析対象保持装置26及び分析サブシステム30の構成部品についての詳細は後に述べる。]
[0081] 本発明の膜44の組成はさまざまに異なる。ある実施態様においては有する基材の表面処理があるものもないものもある。その基材は多孔性であってもなくてもよい。その孔サイズは次のどれであってもよい。1)ある実施例においては約1mm未満、2)ある実施例においては約100μm未満、3)ある実施例においては約10μm未満、3)ある実施例においては約1μm未満、5)ある実施例においては約100nm未満。]
[0082] その基材の材質は次のものであってよい。1)ある実施例においては金属材(アルミニウム、プラチナ、ステンレス鋼を含むがこれらに限定されない)、2)ある実施例においては半導体(シリコン及びゲルマニウムを含むがこれらに限定されない)、3)ある実施例においては酸化物(酸化パラジウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タングステンを含むがこれらに限定されない)、4)ある実施例においては高分子材などの非金属材で、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートを含むが、これらに限定されない。]
[0083] 採用するのであれば、表面処理は厚さが選択可能である、及び共有結合あるいは非共有結合の材質が選択可能な単層コーティングあるいは多層コーティングのどちらでもよい。表面処理は次の一つあるいはそれ以上が処理可能であるが、これらに限定されない。1)ある実施例においては溶液からの浸漬コーティング、2)ある実施例においては溶液からの回転成形、3)ある実施例においては溶液からのスプレー・コーティング、4)ある実施例においては真空処理、5)ある実施例においては超臨界二酸化炭素からの蒸着、6)ある実施例においてはプラズマ処理、7)ある実施例においては化学蒸着、8)ある実施例においてはサブリメーション、9)ある実施例においては蒸発。]
[0084] 表面処理材は次の一つあるいはそれ以上で形成可能であるが、これらに限定されない。1)ある実施例においてはヘキサメチルジシラザン又は3,3,3−トリフルオロプロピル−トリクロロシランといったものを含むシランであるが、これらに限定されない、2)ある実施例においては上記にて基材に使用可能とされた材質を含む金属、3)ある実施例においては上記にて基材に使用可能とされた材質を含む酸化物、4)ある実施例においては上記にて基材に使用可能とされた材質を含む高分子化合物、5)ある実施例においてはアントラセンを含む分子量の小さい有機化合物であるが、これに限定されない。]
[0085] サポート46の組成はさまざまに異なる。ある実施例においては、支持体46は多孔性であってもそうでなくてもよい。多孔性である場合、たとえば孔サイズの構成は次のとおりでよい。1)ある実施例においては約3mm未満、2)ある実施例においては約1mm未満、3)ある実施例においては約100μm。]
[0086] 支持体46は次のもので形成されてよい。1)ある実施例においては金属材(たとえばアルミニウム、プラチナ、ステンレス鋼を含む)、2)ある実施例においては半導体(たとえばシリコン及びゲルマニウムを含む)、3)ある実施例においては酸化物(たとえば酸化パラジウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タングステンを含む)、4)ある実施例においては高分子材などの非金属材で、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートを含むが、これらに限定されず、またたとえば赤外線への適応性及び/又は抽出物の含有量の減少を改善するのに好適なコーティングを含んでよい。]
[0087] ハウジング40の組成はさまざまに異なる。全ての場合において、ハウジング40の素材が含む、存在する検体量の測定を妨げる溶出可能物の含有量は、これまでにないほどのわずかな量に抑えるべきである。炭化水素の測定の例では、どのような溶出可能な有機物質も炭化水素の含有量の測定を妨げることであろう。ハウジング40は次のもので形成されてよい。1)ある実施例においては、たとえば、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属、2)ある実施例においては高分子材等の非金属材で、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンを含むが、これらに限定されず、またたとえば赤外線への適応性及び/又は抽出物の含有量の減少を改善するのに好適なコーティングを含んでよい。]
[0088] ハウジング40の構造はさまざまに異なる。ハウジング40の構造には次のようなものがある。1)ある実施例においては流体の流れに膜44を通過させる、2)ある実施例においては流体の流れに膜44の表面を通過させずに横切らせる。ある実施例においては、ハウジング40は再使用可能に設計されることもできる。つまり、膜44を通過あるいは通過せずに横切って試料を送出した後ハウジング40は開くことができ、膜44あるいは膜44と支持体46を取り出し、ハウジング40は清浄にされて再使用に備える、ということである。ハウジング40は、膜44あるいは膜44と支持体46をハウジング40内に設置した後、たとえばネジを切った部品を結合させることにより、ハウジング40を閉じることで再使用が可能である。ハウジング40は次のもので組み立ててよい。1)低溶出性プラスチック、金属、ガラスを使って手作業にて、2)ある実施例においては低溶出性プラスチック、金属、ガラスを使い、機械的、電気機械的あるいは他の方法により製造される。保持装置26は、ある実施例においては、ぜん動ポンプといった流体ポンプを有していてよい。]
[0089] 分析サブシステム30は次のものを含む。1)ある実施例においては分散型分光装置、2)ある実施例においてはフーリエ変換分光装置、3)ある実施例においては全反射減衰型分光測定装置、4)ある実施例においては分散型放射線分析装置、5)ある実施例においては全反射減衰型放射線分析装置である。上記分析サブシステム30の実施例は、次により機能する。1)ある実施例においては電磁スペクトルの赤外線領域内の吸光度を検査する、2)ある実施例においては電磁スペクトルの近赤外線領域内の吸光度を検査する、3)ある実施例においては電磁スペクトルの紫外線領域内の吸光度を検査する、4)ある実施例においてはラマン・シフト・スペクトルを検査する。]
[0090] 本発明を一般的に記載してきたが、以下の実施例を参照することでさらに容易に理解されるであろう。これらの実施例は本発明のある態様及び実施形態を示す目的でのみ記載されており、本発明を限定するものではない。]
[0091] 実施例1]
[0092] 厚さ50μm、孔サイズ0.45μm、直径15mmのPTFE膜を、孔0.25mmで直径12.7mmの金属製支持ディスクに乗せた。はみ出した膜材は金属製支持ディスクの裏側へと巻き付けた。内径7.1mm、外径12.7mm、厚さ0.75mmのPTFEワッシャを膜の両側に設置した(図4及び5を参照)。人の手により、ワッシャ、膜、ディスクを約30psi(約2.11kgf/cm2)の力で押し付けた。これを以後支持された膜ユニットと呼ぶ。支持された膜ユニットは13mmの赤外線ウィンドウ・ホルダー(ブルッカー・オプティクス社(Bruker optics)製)へ設置された。ABB社のFTLA 2000とコンピュータに接続した液体窒素で冷却したテルル化水銀カドミウム検出器を用い、透過型フーリエ変換赤外線(FTIR)分光法を実施した。バックグラウンド・スペクトルは50回のスキャンの平均から得られた。次に支持された膜ユニットはアドバンテック社(Advantec)のステンレス鋼製のフィルタ・ホルダ(部品番号30100)内に設置され、手で締付けて膜の周囲を水密にシールした。] 図4
[0093] はじめにヘキサデカンをメタノールに溶かして、約20分間撹拌し、水中炭化水素試験溶液を0.1乃至30ppmの濃度分散で製造した。ここでヘキサデカンは模擬体油として使用された。次にある量のメタノール−ヘキサデカン溶液を、磁気的に混ぜ撹拌棒と撹拌プレートで約300rpmの速度で撹拌され、脱イオン化された1リットルの水の中央部に注いで分散させた。この水−メタノール−ヘキサデカン分散溶液を約20分間撹拌し、水中のヘキサデカンが均一に分散されるようにした。試験に使われた全てのヘキサデカン濃度は水中約3ppbの溶解限度を十分に上回っているため、その溶液は脱イオン化された水に分散されたヘキサデカン液滴の二液相系となる。液滴のサイズは不明である。]
[0094] 撹拌時間を設定後、ヘキサデカン−水分散溶液の約12mlを手で抜き取り、低溶出性プラスチック・シリンジへ引き込むようにした。次に支持された膜ユニットが入ったフィルタ・ホルダがルアー・ロックによりシリンジに取付けられた。シリンジはシリンジ・ポンプに設置され、3分間に10mlの移送が設定された。試料が流れ終えるとフィルタ・ホルダはシリンジから取外され、シリンジには空気を蓄え、フィルタ・ホルダは再びシリンジに取付けられ、約10mlの空気を膜へ圧送して通過させることでこれを乾燥させた。膜に残っている多くの水が赤外線による分光測定を妨害することから、この工程は膜を乾燥させるためにさらに2回繰り返された。フィルタ・ホルダがその後シリンジから取外され、開いた状態になった。支持された膜ユニットはフィルタ・ホルダから取外され、再び13mm赤外線ウィンドウ・ホルダに設置された。FTIRスペクトルは、先に入手したバックグラウンド・スペクトルを使い、再び50回のスキャンを平均して得られた。ヘキサデカン濃度0.1ppm及び1ppmで5回の実験を行い、ヘキサデカン濃度20ppm及び30ppmで2回の実験を行った。]
[0095] この実験の結果は図20(図20A及び図20B)に示されており、4種類の水中ヘキサデカン濃度においてそれぞれで得られた代表的なスペクトルが表されている。30ppmヘキサデカンの最高値において、吸光度は容易に定量化できるレベルの約0.7が最大である。0.1ppmヘキサデカンの最低値において、吸光度のピークは約0.0045であり、定量化に必要な一般に認められる0.001の最小の信号対雑音比を有意に上回るレベルである。吸光度のピークは異なる量の水を注入し及び又は異なる面積の膜を使用することで制御可能である。たとえば、濃度300ppmを示す結果は、約1mlを注入するか有効膜面積を約10倍に広げることで試験可能であり、依然、定量化範囲内である。最低値において、濃度10ppbを示す結果は、約100 mlを注入するか有効膜領域を約10倍縮小することで試験可能であり、定量化範囲内である。] 図20 図20A 図20B
[0096] 実施例2]
[0097] 第二の実施例は第一の実施例に類似する。支持された膜ユニットは同一の素材で作られ、同じようにバックグラウンド・スペクトルが得られ、同一のフィルタ・ホルダが同じ方法で使用された。唯一の相違点は、水中ステアリン酸が2.3ppmの溶液を使って試験が行われたことである。ステアリン酸はメタノールに溶かして20分間撹拌した。次に本溶液の適量を1リットルの脱イオン化された水に加え、20分間撹拌して水中のステアリン酸を均一に分散させた。ステアリン酸は模擬体グリースとして使用された。グリースはTOGの定義には入っているが、TPHのそれには入っていない。]
[0098] 試験は実施例1と同一の方法で実施された。簡単に言うと、水中10mlのステアリン酸分散溶液が支持された膜ユニットを通過してシリンジに送出され、同一の方法で乾燥が行われた。ただし、少量の水が残った。図21はこの試験の結果を示している。ステアリン酸は、カルボキシル基の吸光度領域である約1700 cm-1及び炭化水素の吸光度領域である2800乃至3000 cm-1において強力な吸光を示している。このスペクトルはグリースが測定可能であることを示しており、従って本発明はTOG測定に使用可能である。ただし、グリースは領域2800乃至3000 cm-1において吸光度が重複しているため、TPH測定においては妨害物質となる。この問題を解決するため、グリース含有量の測定には1700 cm-1を使用し、これをTOGから差し引くことでTPHを測定する。]
[0099] 実施例3]
[0100] 第三の実施例は概して先の二つの実施例と同様であり、支持された膜ユニットは同一素材で作られ、同じようにバックグラウンド・スペクトルが得られる。ただし、本実施例の場合、実際の発生源からの6種類の異なる流体の6種類の異なる試料を本発明の分析システムに通し、これをそれぞれ3回ずつ実施した。さらに、それら同じ試料を用いて標準溶媒を用いたEPA1664分析が実施され、本発明によって得られた結果と、現行の標準的な水中油型液の測定法との間の関連について検証した。図22は4種類の試料を使った試験結果のスペクトルを示す(メキシコ湾からの試料は除いている)。さらに、6種類の試料のソース発生源を特定する図23の表に見られるとおり、本発明により得られた結果の平均値は従来の溶媒を使った試験方法、いわゆるEPA1664による結果とほぼ合致している。] 図22 図23
[0101] 上記実施例の他の変化例も実施可能である。変化例の一つとして、記載されている方法に追加の工程を加えてもよい。さらに、工程の順序は図2に示される順序には限定されず、他の順序で実施してもよいし、一つあるいはそれ以上の工程を連続して、又は他の一つあるいはそれ以上の工程又はその一部と平行して実施してもよい。] 図2
[0102] 加えて、本方法のいくつかの分析及び測定の工程、保持装置26の膜44上で採集された試料に実施されたさまざまな分析の実施例を、個別にあるいは組み合わせて、コンピュータに読み込み可能なメディア上のコンピュータに読み込み可能な信号、たとえば不揮発性記録メディア、一体化された記憶回路素子、あるいはそれらの組み合わせのように、コンピュータ・プログラム製品として明白に実施されてよい。このようなコンピュータ・プログラム製品は、コンピュータに読み込み可能なメディア上に明白に具体化されたコンピュータに読み込み可能な信号を含んでよく、そのような信号は指示を規定する。たとえば、コンピュータにより実行された結果、一つあるいはそれ以上のプログラムの一部として、ここに記載された一つあるいはそれ以上のプロセスや行為、あるいはさまざまな実施例、変化例やそれらの組み合わせを実施するようコンピュータに指示する。このような指示は複数のプログラミング言語、たとえば、Java(登録商標)、Visual Basic、C、C++、Fortran、Pascal、Eiffel、Basic、COBOL、その他、あるいはこれらのさまざまな組み合わせのどれで書いてもよい。こういった指示が記憶されるコンピュータに読み込み可能なメディアは、一つあるいはそれ以上のコンピュータ・システム構成部品に備わっており、当業者にはよく知られている。]
実施例

[0103] 本発明を分かりやすく説明するため、数多くの例を記載してきた。しかしながら、本発明の要旨及び範囲を逸脱することなく、種々の変更が可能であることを理解されたい。したがって、他の実施態様も本明細書に付記される特許請求の範囲の中に含まれる。]
权利要求:

請求項1
流体中の一つあるいはそれ以上の分析対象の検出測定に使用する装置であり、一つあるいはそれ以上の分析対象と接触させた結果として検出可能な変化を生じるよう選択された一つあるいはそれ以上の素材で作られた膜を有し、一つあるいはそれ以上の選択された前記素材は一つあるいはそれ以上の分析対象の検出を妨害するのに十分な量のあらゆる成分も排除する前記流体中の分析対象物含有量測定装置。
請求項2
前記膜を保持するための膜ハウジングを有し、該膜ハウジングは、一つあるいはそれ以上の分析対象の検出を妨害するのに十分な量のあらゆる成分も排除すべく選択された一つあるいはそれ以上の素材で作られている請求項1の測定装置。
請求項3
前記膜を保持するための膜支持体を有し、該膜支持体は、一つあるいはそれ以上の分析対象の検出を妨害するのに十分な量のあらゆる成分も排除すべく選択された一つあるいはそれ以上の素材で作られている請求項1の測定装置。
請求項4
前記膜が多孔性である請求項1の測定装置。
請求項5
前記膜は前記流体がそれを通過して流れるよう構成されている請求項4の測定装置。
請求項6
前記膜は前記流体がそれを通過するのではなく、横切るよう構成されている請求項1の測定装置。
請求項7
膜の表面に施されたコーティングをさらに有している請求項1の測定装置。
請求項8
前記膜は金属材で形成された基材で作られている請求項1の測定装置。
請求項9
流体の流出源に接続可能であり、流出源からの流体を膜へと送出するよう構成された流体流コネクタをさらに有している請求項1の測定装置。
請求項10
前記流体流コネクタは膜に接続可能なフロー膨張器を有しており、該フロー膨張器は前記流出源からの前記流体を受け取り、選択可能なフローパターンにおいて前記膜に前記流体を送出するべく構成されている請求項9の測定装置。
請求項11
前記フロー膨張器は少なくともその一部分が前記膜に接続されたままになっているよう構成され、前記フロー膨張器及び膜は分析対象の検出装置に挿着されている請求項10の測定装置。
請求項12
前記流出源は処理フロー導管であり、前記流体流コネクタは処理フロー導管からの水栓口である請求項9の測定装置。
請求項13
流体中の一つあるいはそれ以上の分析対象の検出測定に使用する装置であり、該測定装置はa)前記一つあるいはそれ以上の分析対象を検出可能な検出装置、b)前記流体を流出源から移送する流体流動装置、c)前記流体流動装置が前記流体を前記膜へ移送する際に前記流体に含まれる一つあるいはそれ以上の前記分析対象と接触させた結果として検出可能な変化を生じるよう選択された一つあるいはそれ以上の素材で作られ、該素材は一つあるいはそれ以上の分析対象の検出を妨害するのに十分な量のあらゆる成分も排除する膜、d)前記膜を流体流動装置との関係で選択可能な位置に保持するための膜ハウジングであって、一つあるいはそれ以上の分析対象の検出を妨害するのに十分な量のあらゆる成分も排除すべく選択された一つあるいはそれ以上の素材で作られている前記膜ハウジング、を有している。
請求項14
前記膜を前記膜ホルダ内に保持するための膜支持体を有し、該膜支持体は、一つあるいはそれ以上の分析対象の検出を妨害するのに十分な量のあらゆる成分も排除すべく選択された一つあるいはそれ以上の素材で作られている請求項13の測定装置。
請求項15
前記膜は前記流体流動装置との関係で流体流動装置が前記流体を導いて前記膜を通過させるように構成されている請求項13の測定装置。
請求項16
前記膜は前記流体がそれを通過するのではなく、横切るよう構成されている請求項13の測定装置。
請求項17
膜の表面に施されたコーティングをさらに有している請求項13の測定装置。
請求項18
前記検出装置は分光計、放射計、フィルトメータ(登録商標)のいずれかである請求項13の測定装置。
請求項19
流体中の一つあるいはそれ以上の分析対象の検出測定に使用する装置であり、 a)一つあるいはそれ以上の分析対象と接触させた結果として検出可能な変化を生じるよう選択された一つあるいはそれ以上の素材で形成され、該素材が一つあるいはそれ以上の分析対象の検出を妨害するのに十分な量のあらゆる成分も排除する膜、及びb)前記膜の支持体、を有している前記流体中の分析対象物含有量測定装置。
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